今回は、有機化合物の精製方法の一つである「蒸留精製」についてです。

蒸留精製は、再結晶と同様に大量のモノを精製するのに適した方法です。しかも、うまくやればカラムをやるよりも綺麗にモノをとってくることができる強力な精製方法です。ぜひ上手に活用しましょう。

スポンサーリンク

蒸留の原理

蒸留は、化合物の沸点の違いを利用しています。2種類の化合物を加熱して沸騰させると、基本的には低沸点の化合物が先に蒸発し、その後に高沸点の化合物が蒸発してきます。

タイミングよく受けのフラスコを取り換えていくことで、沸点の異なる化合物を分けることができます。

蒸留装置の組み方

蒸留は、例えば下記のような装置を組みます。

蒸留(常圧)

★充填剤を詰める(精留)

上記の図は、ただ化合物を沸騰させて凝縮させるだけの装置です。従って、蒸発と凝縮は各1回ずつしか行われていません。しかし、沸点の近い化合物を分けたい場合は、これでは十分な分離ができない場合があります。

そういった場合に充填剤を用いると効果的です。充填剤を用いて行う蒸留を、精留と呼びます。

充填剤にはいろんな種類がありますが、いずれも役割は同じです。役割としては、蒸発してきた混合物の凝縮→蒸発というサイクルを多くすることにあります。このサイクルが多ければ多いほど、化合物の分離が良くなります。

装置としては、例えば下記のようになります。充填剤を詰めたタワーを間に挟みます。

蒸留(充填剤、常圧)

充填剤タワーは高ければ高いほど分離も良くなりますが、あまり高くしすぎると留出させるのにかなりの加熱を必要とするので、化合物の分解などの懸念があります。

 

★減圧蒸留

沸点が高く、常圧では留出が困難な場合は、真空ポンプなどを使って減圧下で蒸留するという方法をとります。

例えば下図のような感じですかね?

蒸留(充填剤、減圧)

蒸留する際のコツ、注意点

★留出物の最初と最後は切る

留出物の最初と最後は、あまりきれいでないことがあるので廃棄した方が良いです。

★トップ温に注目する

化合物が留出してくると、タワートップの温度計の温度が上がります。純粋な物質が留出し続けている時は、トップ温はだいたい一定になります。温度が明らかに変化した時は、受けのフラスコを変えるなどした方が良いです。

★サンプルの量は多いほうがいい

蒸留精製では、器具の壁面などに化合物が付着して残ることによってどうしてもロスが発生しますので、サンプル量は多くないとやりづらいです。

 

スポンサードリンク