分液というと、有機溶媒と水で行うというのが一般的ですが、ただの水の代わりにいろんな水溶液で分液を行うことがあります。

目的化合物だけを水層に逃がしたり、逆に不純物を水層に逃がしたりできる場合もありますので、機会があったら試してみてもいいかもしれません。

ここでは、そのいくつかを紹介します。

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様々な水溶液で洗浄する

飽和食塩水

論文の実験項を読むと、よく分液操作の最後に「飽和食塩水(英語ではbrine)で洗浄した」という言葉が出てきます。

その理由としては、「有機溶媒中の水分をより除くため」となります。

通常の水で分液操作を行った後の有機槽には、若干ではありますが水が混じっています。飽和食塩水はその水分を水層に持ってくる効果があるので、分液の仕上げに飽和食塩水で洗浄という操作を行うことが多いです。

まあ、私が学生の頃は、「どうせ硫マグで乾燥させるし」ということで面倒くさがってやりませんでしたが・・・。

塩酸などの酸

酸で洗浄することによって、塩基性の物質を水層に持ってくることができます。

例えば1級アミンなどの塩基性の高い化合物は、塩酸などの酸と塩を作って水層に逃がすことができます。

注意点としては、有機層の溶媒として酢酸エチルなどのエステルを使った場合、強酸の水溶液によって加水分解が起こり、酢酸になってしまうことがあります。

生成した酢酸は有機槽にも少し残りますので、除去がめんどくさくなります。酸に安定な有機溶媒を使うようにしましょう。

NaOH水溶液などの塩基

塩基の水溶液で洗浄することによって、酸性の官能基を持つ化合物を水層に持ってくることができます。

例えばカルボン酸やフェノールなどはナトリウム塩になって水層に来ます。

注意点としては、酸での洗浄と同様、酢酸エチルなどは加水分解を受けます。生成した酢酸はナトリウム塩になって水層に来るのでまだましですが、できればエステルなどの加水分解を受けやすい溶媒は使わないのがベターです。

塩化アンモニウム水溶液

塩化アンモニウム水溶液で洗浄することにより、銅塩を取り除くことができます。銅塩は水になかなか溶けないことも多いので、上手く取り除けない場合に使うと良いと思います。

 

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