有機合成の肝と言っても過言ではない精製操作、その一つが再結晶です。晶析操作とも言います。化合物の溶解性の違いを利用した精製方法です。

固体の化合物の精製においては、カラムクロマトグラフィーよりも威力を発揮することも少なくないと個人的に思っております。一旦条件を確立してしまえば、数十グラム、数百グラムの精製も可能、かつ手間もかかりません。

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再結晶のやり方について

★再結晶の方法

まずは精製したい化合物を溶かしづらい溶媒を探します。沸点はある程度高い方が良いです。個人的に下記の溶媒は使いやすいです。

・トルエン(個人的なファーストチョイス)
・2-プロパノール(メタノールよりも熱がかけられる)
・シクロヘキサン(溶けやすい化合物でもけっこう行ける)

次に加熱して化合物を溶かし、あとは放冷すると結晶が析出してきます。この時に氷水などで急冷すると純度低下を招くので、徐々に冷却すると良いです。

結晶が析出したら濾別して、乾燥すればOKです。

 

★混合溶媒の利用

単一の溶媒で上手くいかない場合というのは多々あります。そんな時は、2種類の溶媒を組み合わせる方法があります。特に、貧溶媒(化合物を溶かしづらい溶媒)と良溶媒(化合物を溶かしやすい溶媒)の組み合わせが有効です。

組み合わせの比率の決め方としては、貧溶媒を加えて加熱した後に、良溶媒を少しづつ加えて行き、溶けたところで添加を止めます。そのまま放冷すればOKです。

 

★溶解性の悪い不純物がある場合

再結晶は、目的物は過飽和であるが不純物は飽和ではない状態を作り出すことで成り立ちます。しかし、溶解性の悪い不純物がある場合、不純物も過飽和になって析出してきてしまいます。

そういう場合、再結晶での精製は困難です。逆に溶けづらい性質を利用して、目的物のみ溶ける溶媒によって濾過で取り除くか(大抵の場合、不純物も少し溶けるので完全に取り除くことはできません)、諦めて他の精製方法を検討するしかないと思います。

 

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