こんにちは。今回はベンジルアルコールをベンズアルデヒドに酸化する反応について書いていきます。
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MnO2とは
有機合成においてはMnO2(二酸化マンガン)は、マイルドな酸化剤です。外観は黒い粒で、水には溶けません。
ベンジルアルコール→ベンズアルデヒドへの酸化
MnO2を用いた反応で特筆すべきなのは、ベンジルアルコールからベンズアルデヒドへの酸化反応です。
この反応を行うことができる酸化方法としては、PCC、swern酸化などいくつもありますが、PCCはクロムの毒性、swernは操作が意外と煩雑だったり、温度管理が面倒だったりします。
この手法のメリットは、操作の簡便さと反応のマイルドさ
この手法は、適用できる基質であれば非常に簡単です。
実験操作としては、塩化メチレンに溶かした基質中に、MnO4を理論量より過剰に加え(私は理論量の10mol倍入れていました)、室温で回すだけです。
その後は、濾過で不要なMnO2を除去すれば余計なものも簡単に除去できます。
また、ベンジル位やアリル位のアルコールのみを選択的にアルデヒドに酸化するので、通常の脂肪族アルコールを酸化させずに、狙った部分を選択的に酸化させることもできます。
カルボン酸まで酸化されてしまったりすることはありませんし、基質にもよりますが副反応もほとんど起きず、収率も高いです。
ピンポイントな反応ですが、有用性は高いです
アルデヒドは、wittig反応やGrignard試薬との反応によって炭素鎖を伸ばしたりする足掛かりとして非常に有用です。
この反応はアリルアルコールを選択的にアルデヒドに酸化するという非常にピンポイントな反応ですが、こういう反応を知っておくと、いざというときの選択肢が増えるので、知っておいて損はないと思います。機会があったら試してみてはいかがでしょうか。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。それでは。