ディーンスターク装置とは、反応系中から水を除去するための装置です。

脱水反応において生成する水を系外に出すことで、平衡を生成物側に偏らせることができます。この記事では、ディーンスターク装置の仕組みなどについて説明していきます。

スポンサーリンク

ディーンスターク装置とは

例えば、フィッシャーエステル合成(下図)は平衡反応のため、普通に反応を行ってもある所で反応は止まってしまいます。
フィッシャーエステル合成 (2)

そのため、収率よく目的物を得るためには、生成する水を系外に出してあげる必要があります。

そんな時に使うのが、ディーンスターク装置と呼ばれるものです。装置の概要は、下図のようになります。
ディーンスターク装置

簡単に仕組みを説明します。まず反応液を加熱することにより、溶媒と水が蒸発していきます。

蒸発した溶媒と水は、ジムロートなどの冷却装置により冷やされ、予め溶媒を張っておいた管の右側に落ちます。

水は大抵の溶媒よりも比重が大きいため、管の底に溜まり、その分溶媒が反応形中に戻ります。これを繰り返すことにより、反応形中から水だけを取り除くことができます。

 

溶媒の選択

ディーンスターク装置を用いて反応を行うための溶媒としては、下記の条件を満たす必要があります。

・水より比重が小さい
・水と混じらない
・水と共沸する

これらの条件を満たすものとして最もよく使われるのが、ベンゼンやトルエンです。ただしベンゼンは発がん性が認められたために最近ではもっぱらトルエンが使用されることが多いです。

熱をあまりかけたくない場合はシクロヘキサンなども使用可能です。

 

コツ、注意点

普通の還流条件での反応と比べ、冷却装置までの距離が長いので、いつもと同じように加熱してもなかなか還流まで到達しないことがあります。

そんな時は、管の部分を何らかの方法で保温する(保温材を巻き付けるなど)か、オイルバスの温度を上げましょう。

スポンサードリンク