今回は、合成反応を行うやり方について解説していきます。有機合成の研究室に配属されて間もない方は、右も左も分からない状態だと思います。
この記事が、合成反応についてのイメージを持つのに少しでも役に立てれば幸いです。
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反応の手順
基本的には合成反応は次の5つのステップで行います。
①実験ノートに次の事項を書いておく
・日付、天気など
・反応式
・使用する試薬の名前、重さ、分子量、mol、(融点、沸点、比重など必要に応じて)
あとは実験をしながら記録していく
②必要な器具を準備する
例:ナスフラスコ、撹拌子、オイルバスなど
③適切な条件で反応を行う
例:窒素雰囲気下、50℃に加熱しながら撹拌子で混ぜる
④反応を適切な分析方法で追跡する
例:TLC、HPLC、NMRなど
⑤反応が終了したら、適切な後処理で化合物を取り出す。
例:分液、カラムクロマトグラフィー、蒸留、再結晶など
コツ、注意点など
★実験ノートは実験をやりながらとる
実験ノートを記録することは非常に大切です。しかし、後から書こうとすると記憶が曖昧になってしまい、正確なノートをとることができなくなります。それを防ぐために、実験をやりながら記録すべきことがあったらその都度記録しながら実験を進めるようにしましょう。
★自分がやっていることの意味を理解する
実験を行う際に、ある論文の実験項を参考にすることは多いです。しかし、ただ何も考えずに書いてあることをやるよりも、なぜその操作をするのかを考えながらやった方がいいと思います。そうすることで、他の実験の時に応用することもできるようになります。
★反応の追跡は最低3点とるつもりで
初めてやる反応の場合、反応の進行を分析するタイミングとして、私は最低次の3点はとるようにしています
・反応開始直後
・開始1時間(ここで終わってたら後処理に入る)
・開始2時間
この3点を取ることで、次のことが判断できます。
・反応の速度
・反応がまだ進行しているか(反応が止まっている場合、なんらかの処置が必要)
・次の分析のタイミング
★実験にトラブルはつきもの
合成実験をしていると、自分の思うような結果にならないことがけっこうあります。そんな時はまず自分で調べ、考えてみましょう。考えても分からなかったら、先輩や教授などに聞いてみましょう。大抵の場合は聞けば快く教えてくれます。特に研究室に配属された頃は上手くいかないことも多いと思いますが、それを乗り越えることで力が着いてきます。
「反応温度の決め方」