化合物のSDSを見ていると、物理的および化学的性質の項目に、オクタノール/水分配係数というものがありますよね。

ある数値が書いてあるんですが(例えば1.97など)、この数値を見てもピンとこない人が多いのではないでしょうか。

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オクタノール/水分配係数(Log Pow)とは

オクタノール/水分配係数とは、ある化合物が脂溶性なのか水溶性なのかを見る指標のようなものです。オクタノールと水の二層系において、ある化合物のオクタノール層の濃度と水層の濃度の比率で表します。

分析方法は一応規定がありますが、ややこしいのでここでは割愛します。詳しく知りたい方は、こちらのページで詳しく説明されていたので、ご参照ください。

計算式は?

例えば、化学物質のSDSでは、LogPowと表記されていることが多く、計算式は下記になります。

オクタノール/水分配係数=Log10(オクタノール層の濃度/水層の濃度)

例えば、ある化合物のオクタノール層の濃度が1%、水層の濃度が0.01%だっととすると、

Log10(1/0.01)
=Log10(100)
=2

となります。

高ければ脂溶性が高いという目安になる

オクタノールは水よりも脂溶性が高く、脂溶性が高い溶媒は脂溶性の高いものを溶かしやすい傾向がありますので、オクタノール/水分配係数が高ければ高いほどにその化合物は脂溶性であるという目安になります。

たとえば、オクタノール/水分配係数が2の場合、上述したようにオクタノール層に水層の100倍の化合物が溶けていることになります。

3の場合は1,000倍、4の場合は10,000倍と、値が1上がるごとに一気にオクタノール層に分配される割合が上がります。

値が0で、オクタノール層と水層の化合物比率が同じということになります。

値が-(マイナス)になると、水層の方に分配される割合が高いということになります。

具体例

オクタノール/水分配係数は、化合物のSDSにだいたい載っております。

一般的に良く使用する化合物について、オクタノール/水分配係数を紹介します。溶媒が分かりやすいと思うので、有機溶媒を例として挙げております。

※値の引用:職場のあんぜんサイト

メタノール:-0.82~-0.66
エタノール:-0.31
酢酸エチル:0.73
ジクロロメタン:1.25
クロロホルム:1.97
トルエン:2.73
n-ヘキサン:3.9

このように、アルコール溶媒は水溶性が高く、n-ヘキサンは脂溶性が高いということになります。

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