これから有機合成を始める人は、まず扱う試薬がどんなものなのかを知る必要があります。試薬の中には毒性の強いものや刺激性の強いものが少なくないため、化合物の性質を知らなかったために思わぬ事故に繋がる可能性があります。

スポンサーリンク

化合物の性質を知ることが大切

初めて使う試薬は必ず知っている人に聞くか、SDS(安全データシート)などでその性質を調べることが必要です。SDSは試薬会社のホームページで無料でPDFファイルが入手できます。

ここでは、実験室で使用する可能性のある化学物質の中で、個人的に取り扱いに注意するべき化合物を独断と偏見でピックアップしています。

・ベンジルブロミド
アルコールの保護基であるベンジル基を導入したりするのに使われます。催涙性、皮膚刺激性が強いので、必ずドラフトで取り扱うようにしましょう。

・過マンガン酸カリウム
強力な酸化剤です。しかし、反応する際に非常に大きな発熱を伴います。しかも一旦反応が始まると加速度的に反応が進行するため、反応が暴走しやすいです。大きなスケールで反応を行う際は、基質をゆっくりと滴下するなど、反応が暴走しないように気をつけましょう。

・水酸化ナトリウムなどの強アルカリ
強アルカリは目に入るのだけは気を付けましょう。最悪失明の恐れがあります。

・塩化チオニル
水で分解すると、呼吸器系を刺激するSO2ガスが発生します。濃度が高いととても苦しくなるので、後処理には注意しましょう。どうしても処理する場合は、ドラフト中でものすごくゆっくり水で潰すしかないでしょうね。

・金属ナトリウム
水と激しく反応し、水素を発生します。通常は安全のためにオイル中に保存されていますが、反応の後処理でろ過した際に発火するという例が多いです。

・水銀系の化合物
毒性が非常に高いです。特にジメチル水銀などの有機水銀の毒性は高く、手袋の上から一滴手にこぼしたのが原因で人が亡くなるという事故も過去にあります。

・シアン化カリウム、ナトリウム
シアン化カリウムは、ドラマなどでよく聞く青酸カリのことです。酸と反応して有毒なHCN(シアン化水素)を発生しますので、必ずドラフトで作業し、廃液などもそれと分かるように別にしましょう。

 

スポンサードリンク