アルデヒドは、有機合成において非常に重要な官能基です。酸化することでカルボン酸に、還元することでアルコールに、wittig反応ではアルケンに変換できたりと、何かと便利です。

しかし、その反応性ゆえに時には保護が必要になります。今回は、アルデヒドの保護基である「アセタール保護」について書いていきます。

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アセタール保護とは

アルデヒドは、酸触媒の存在下でアルコールと反応し、アセタールと呼ばれる構造を形成します。

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中間体としてヘミアセタールと呼ばれる構造を経由しますが、このヘミアセタールは一般的には不安定のため、速やかに次のアセタール化が進行します。

このアセタールと呼ばれる構造は、酸性条件以外には比較的安定であり、アルデヒドやケトンの保護基として使われます。

実験操作

私が実際にやったことのあるアセタール保護は、ベンズアルデヒド系の化合物をエチレングリコールと反応させるものです。(下図反応式)

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この反応は生成物として水を生成し、可逆反応のためその水を取り除かないと最後まで反応が進行しません。なので、反応はディーンスターク装置を用いて還流し、水を除きながら行います。

酸触媒としては、p-トルエンスルホン酸を用いて、溶媒はトルエンを使いました。エチレングリコールは理論的にはアルデヒドと等量で良いのですが、反応が途中でなかなか進まない場合はさらに追加した方が良いかもしれません。

エチレングリコールは分液で除けるので、私は5倍くらいいつも入れていました。

注意点

反応終了後は、大体の場合は分液操作を行うのですが、反応終了直後は液がかなり熱い状態になっています。ここに水を入れてしまうと逆反応が起こってアルデヒドに一部戻ってしまう恐れがあります。

なので、私の場合はいつも反応液を室温付近まで冷やしてから、NaOH等の塩基で酸触媒を潰してから後処理を行っています。酸触媒さえ潰してしまえば、逆反応が起こる心配はありません。

脱保護

アセタールの脱保護は、酸触媒存在下、大過剰の水によって行われます。私の場合ですが、こちらも酸触媒としてp-トルエンスルホン酸を用い、溶媒はTHF/水で加熱(50℃くらいだったかな?)して脱保護していました。

とりあえずこれで脱保護はできますが、もっといい条件はあると思います。いい条件を知っている方はコメント等頂けると嬉しいです。

 

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