私は大学で有機合成系の研究室に所属していました。大学院(マスター)を卒業後、小さな化学メーカーに就職し、いわゆるプロセス化学というものを仕事にしています。

プロセス化学とは、ある化合物を大量に、安く、品質よく簡単に合成する方法を見出すことです。実験室レベルの実験では問題にならなかったことが、工場の数千リットルの釜では問題となって浮上してきますので、大学の有機合成とは違う視点で実験を行っていくことは多いです(大学での経験も役に立っています)。

 

さて、プロセス化学で何が一番面白いかというと、人それぞれ違いはあると思います。私の場合は、利益に結び付くということです。自分の検討によって、例えば収率を5%上げることができれば、その分利益になります。生産工程の短縮化によって日数を削減できれば、これもまた利益になります。

そんな感じで、「自分の力で高利益率な製造方法を作り出してやるぜ!」という気持ちで日々仕事をしています。正直面白いですね。

 

元々大学で実験をしている時も、きれいに反応が進行して簡単に収率よくモノが取れてきた時は嬉しかったですし、逆に副生成物が多く、頑張ってカラムをかけたけど収率が50%くらいだった、なんて時はがっかりしたものです。なので、元々性に合っていたのかもしれません。

逆に、何か新しい物性を持つ化合物を開発したいとか、そういう人には向かないかもしれません。そういう人は、そういった仕事(大きな企業に多いかな)がありますので、そちらが良いと思います。そういう人たちが見つけ出した化合物を、私たちが大量に合成するお手伝いをするというイメージですね。

 

最後に、ただ大量に合成するといっても、一筋縄では行かず、意外と奥が深いのがプロセス化学です。私は知りませんが、医薬品のプロセスなどは針の穴を通すような緻密なものなのではないかと思います。興味のある方は、一度入社してみてはいかがでしょうか?

 

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