有機合成をする時欠かせないのが、原料となる試薬です。試薬の値段はピンキリで、安いものだと2,000円/500gくらいのものから、高いものだと例えば数万円/1gなど、キリがないです。

合成ルートのどの段階の原料なのか、研究室の予算はどのくらいなのか、教授や上司の方針etc・・・。買うか作るかは、いろんな要素を考えて決めなければなりません。

この記事では私の独断と偏見で、試薬の買い方について書いていこうと思います。

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出発原料には極力安いものを

合成ルートが何段階かにもよりますが、出発原料は安く買えるものを選びましょう。可能であれば500g単位で買えるもの、高くても10,000円/25g程度のものが良いですね。

ステップを踏めば踏むほど、化合物はどんどん少なくなっていきます。原料が高価であまり量が用意できないと、合成ルートの後半で辛くなりますので、出発原料は多いに越したことはないです。

ある程度の値段であれば、作るより買ったほうが良い

これはよく言われることですが、試薬会社で買える化合物は、ほとんどの場合は作るより買うべきです。例えばですが、10,000円/25gの試薬を作るために、5,000円/25gの試薬を使うくらいなら、10,000円/25gのものを買うべきだと思います。

その実験をする時間、上手くいかないかもしれないリスクを考え、それでも作る価値がある場合のみ自分で合成するようにしましょう。

試薬の値段はどう決まる?

上でも書きましたが、試薬の値段はピンキリです。その試薬の値段はどのようにして決まるのでしょうか?いくつか目安がありますので、述べていきたいと思います。

・工業スケールで作られているものは安い
500gスケールで売っている試薬は、大抵の場合工業的に数百kg、数tなどのスケールで作られているものが多いです。どこかの会社の工場で、工業スケールで作られたものの一部を試薬会社が仕入れ、小分けして売っている場合が多いのではないでしょうか。

・作りにくいものは高い
当たり前の話ですが、合成するのが難しい化合物ほど値段は高いです。逆に言うと、自分で作ろうとしても上手くいかない、もしくはかなりの労力がかかる可能性が高いということでしょう。

・オーダーメイドの場合は超高価
試薬会社で売っていない化合物の場合、時には受託合成会社に依頼することもあるかもしれませんが、数十万円単位の値段になることも珍しくないです。

その一番の理由としては、人件費があります。正社員の人件費は、私のイメージ的に3~4万円/日くらいだと思います。仮に合成に1段階しかかからなかったとしても、反応、精製、乾燥工程など、最低3日くらいはかかるのではないでしょうか。この時点で10万円くらい。かなり予算のある研究室でないと厳しいかもしれません。

まとめ

いろいろと書きましたが、試薬を買う時は、自分の研究の目的に合わせることが重要だと思います。結局は、自分の研究の結果が最短で予算内で出ることが一番ということですね。

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